家なんかいらない。帰るところが必要だ。
-2LDK Positive

POTALIVEに楽屋はない。

岸井大輔(劇作家)

1『劇場はいらないけれど、演劇は必要なのよ。』

劇場に来るお客さんの顔ぶれ、だいたい決まってます。東京で、アート演劇を見る人口は、多く見て3万人だそうで、なんとなく覚えちゃいます。
もっと多くの人が、演劇を生活の一部にしてくれないかと思うます。音楽とか、漫画とか、小説とかみたく。東京だったら、100万人くらいが普通に観るものになってほしいなあ。演劇は、普通の生活にこそ、必要だと思うので。
普通の生活に必要?例えば、音楽が生活の1部にあるから、つらいときには歌うでしょう。絵があるから、もやもやしたときには、描くし。言いたいことがあれば、なにか書くとか、そういう風に、演じることも、いろいろ役にたつんです。身近に演劇があれば、きっと生活はもっとマシになるんじゃないか。
と、いうことで、演劇を必要としているけどまだ出会っていない人と、会いたい、ので、劇場を出ることにしました。

家出です。

具体的には、POTALIVEというのを始めました。「散歩をしながら楽しむライブ」という意味で、名前どおり、お客さんと散歩しているといろいろな演劇が巻き起こるというものです。(詳しくは、サイト参照

家出人のおきまりで、困りました。
電気もないところで、どうやって劇やるんだ!とか。
本物がいっぱいある町中で、嘘の芝居をやってもリアリティねー!とか。
ああ、おうち(劇場)に帰りたい、なんて思ったこともあります。

でもね。
昔々のお芝居は、電気なしにやってたんです。(電灯の発明より前から演劇はあるんだから、当たり前ですね)
街中でやるなら、それにあわせた内容の芝居を作ればいいんです。
というふうに、家出根性で3年ふんばっていると、家出人の友達がたくさん出来ました。

ああ、家出人、というのは正確じゃないですね。家出人って、家を嫌っていそうなイメージがあります。
でも、僕、今でも、劇場が嫌いなわけじゃないんですよ。
ただ、劇場にいては、駄目になる、と思って出てきたんです。落ち着いて活動できるところ、とか、つながり、とか、は必要ですけれど、でも、劇場とかにはリアリティーがないのです。もはや、いまや。
「シアワセな専業主婦のママと郊外の一戸建ての住宅を夢見て30年ローン」と同じように、リアリティーないんですよ。

同じように、
建築家のくせに、「家なんか」と、思ってしまうミリメーターさん、とか。
帰る先を作るために、スローフードのお店をやっている、ヤドカリさんとか。
その他、
楽だけど、そこにいるのは、どうも落ち着かない、
という場所から出てきたアーティストさんたち、
と会いました。たくさん。
みんな、場所は求めています。切実に。ただ、今まである何かには、リアリティがないようなんです。
だから、創るしかない。

そういう人が、勝手にリアリティーのあることをしていれば、
現在進行形で、まちはドンドン、リアルになっていく、と思っています。
だけど、家出仲間のやっていることは参考になるし、
何よりも、話していると勇気が湧く。
そうそう、話をしよう、
お互いの活動を紹介し会おう。
もっとたくさんの人の話も聞けるかもしんないしね。
で、サイトとフリペを作ることにしました。

僕は、一演劇人の観点から家出して生きている話を書いていきます。
劇場がありませんから、控え室も何もありません。
だから、よくある、裏話ではありません。
例えば、質の高いアートが日常の中に現れた
瞬間などを、紹介させていただきます。